新規開店・新規開業、実は今がチャンス！好立地に空き物件が多数！
日本経済新聞2020年度の飲食業調査では、5,230点の飲食店が閉店したと報告されています。
これは、前年度に比較して1.9倍。新型コロナウイルスの感染拡大と緊急事態宣言や蔓延防止措置の延長が外食産業に大きな影響を与え、資金余力のない外食企業の体力が限界に達したことが理由として考えられます。
逆にそうした店舗閉店に伴い、駅前や繁華街の目抜き通りなどの好立地に空き物件が目立ってきています。
a. 駅前・繁華街の賃貸料金推移
駅前や繁華街などの好立地に空き物件が目立ってきている事には、誰もが気づいていると思います。これまでは考えられないような場所でテナントが募集されていますが、現在の賃貸相場はどのような傾向なのでしょうか？
ここでは日本を代表する繁華街である新宿・歌舞伎町と渋谷・道玄坂を例に見ていきます。
現在、新宿・歌舞伎町では路面店である1階の平均坪単価が、すでにコロナ禍であった前年9月から12月には5万円周辺であったのが今年に入り7万円付近に上昇、ところが緊急事態宣言に伴い7月には、約4.5万円に下落、先月わずかに持ち直したものの前年同時期とほぼ同じ水準になっています。1階以外の基準階では、3万円前後のほぼ横ばいで比較的リーズナブルな賃料で推移しています。
歌舞伎町の平均坪単価の月別推移
次に渋谷・道玄坂では、どうでしょうか？基準階では3万円前後で歌舞伎町と同様に横ばいで推移していますが、1階においては昨年9月時点で8万円弱だった賃料が、約5万円前後と約38%もダウンしています。
道玄坂の平均坪単価の月別推移
このように好立地の1階路面店の賃料は前年度と比較して、ほぼ底値となっていることがわかります。
こうした傾向から新規開店だけではなく、これまでも高い賃料を払ってきた店舗などが、駅前などの好立地の路面店でさらに集客に期待でき賃料が下がるならと、移転を考えるケースも少なくないようです。
b.キャッシュレス化の波がもたらした好立地を活用した新業態
好立地における新しい業態としては、ATM跡地を活用したミニマム店舗が上げられます。キャッシュレス化により現金の持ち歩きは最低限となり、銀行は駅やショッピングモール内などのATMを継続する必要性が低くなりました。そんな中、そもそも人流が盛んな好立地であるATM跡地を、うまく活用したお店が生まれてきています。
神奈川では高級食パンの専門店、名古屋ではセルフのうどん店、埼玉・熊谷では話題のバナナジュース店などの業態がATM跡地を改装して営業しています。狭小で小規模の店舗のため、最低限の販売員で、しかもお客様が密にならない店舗形態が収益率を上げる要因となっています。
c.テイクアウトマーケットが生んだビジネススタイルの成功例
アルコールの提供に制限がかけられ、営業時間も短縮される中、食事は家でテイクアウトやデリバリーをメインにする人が急増してきました。
その中で生まれてきたのが、客席を持たず厨房だけでデリバリー料理を専門とするゴーストレストラン。一つの厨房で数種類の料理店を運営して、ネットで注文を取りデリバリー業者を通じて出前販売で収益を上げるスタイルです。
また、大手ファミレスチェーンがテイクアウト専門で鶏のから揚げを別ブランドとして立ち上げ、店舗販売とデリバリーで収益UPにつなげています。
意外なビジネススタイルとして着目すべきは、住宅街の幹線道路などにテイクアウト専門の餃子の無人販売店を出店して、業績を上げている餃子店。お札を支払い箱に入れ、客みずから冷蔵庫から餃子を取り出して持ち帰るという昔ながらの販売システムながらも、東日本を中心に出店数を大幅に伸ばしています。
d.新規開店・新規開業の成功には、やはり認知度のUP！
これまでに紹介した社会経済環境の変化によって生まれてきた新業態ですが、やはりブランド化を図るには認知度のUPが不可欠です。
店舗自体が外観デザインやサイン掲示で目を引く形態を取ることはもちろん、駅やロードサインなどの看板広告や地図広告の掲出や交通広告などを大いに活用して、そこに店舗があることを告知していきましょう。
また、SNSやWEBサービスの活用は、より集客性が高く拡散力があるので面倒になりがちですが、ぜひ運用していきたいものです。特にGoogle マイビジネスなどのローカル検索は、手を付けていないと間違った情報が掲示されてしまい、顧客へのサービスがマイナス面に働くことがあるので充分注意しましょう。
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